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COLUMN コラム

屋外ゴルフ練習場の経営改善入門:まずは粗利5%アップを目指す実践チェックリスト 

はじめに:結論—“ムダの見える化”が最短ルート 

売上を増やす前に、まずは「ムダを減らす」だけで粗利は良くなります。 
特に屋外ゴルフ練習場では、次の4点にムダが集中しがちです。 

  1. 電気・照明 
  1. ボール回収と消耗 
  1. 人の動き 
  1. 価格と稼働率 

本記事は、誰でもすぐ使えるチェックリストで点検し、**粗利+5%**を現実的に狙う入門ガイドです。 

まず押さえるKPI(重要業績評価指標):週に一度“1枚”で把握 

1. 1時間あたり売上(客単価×打席稼働率) 

  • ピーク(夜間)とオフ(平日昼)で数値を分けて記録。 
  • 例:打席数20、平均単価1,200円、稼働率60% ⇒ 1時間あたり売上=14,400円。 
  • この数字が上がらない原因は「単価」か「稼働率」。対策の方向が分かります。 

2.ボールロス率

  • 計算式:(購入数−在庫−回収)÷購入数。 
  • ボールロスが3%を超えると警戒、5%超は要対策。 
  • ネット破れ、回収ルートの障害物、ティーアップ機・ボール貸出機での詰まりが典型要因。 

3.電力原単位(電気代÷来場者数)

  • 「1人あたりの電気代」が上がっていないかを確認。 
  • 照明のつけっぱなし、快適な気温の時間帯の空調・ミスト稼働等が隠れコスト。 

チェックリスト:今日から始める20項目

電気・照明(5項目) 

  1. LED化の未着手エリアはどこ?…駐車場や通路、受付周りを優先。 
  1. タイマー/光センサーの時刻ズレ…日の入りに合わせて定期的に確認。 
  1. 打席ごとの個別スイッチ…不使用打席の消灯ルールを明文化。 
  1. 照度の出し過ぎ—「明るすぎ」のクレーム有無で必要照度に見直し。 
  1. 投光器の向き—照らす範囲を絞り、光害と無駄を同時に削減。 

ボール・設備(6項目) 

  1. 貸出機のディスペンサー清掃…週1で粉塵・詰まり除去。払い出しエラー減でクレームも削減。 
  1. 回収機のルート…小石・溝・凹凸でボールが残っていないか。 
  1. ネット/支柱…破れ・たるみの定点撮影。月1の写真比較で早期発見。 
  1. マット/ティー…薄くなった箇所は打感悪化→滞在時間短縮、顧客満足度下降。区画単位で交換。 
  1. ボール購入サイクル…まとめ買いで単価を下げ、ロス率監視で無駄を防止。 
  1. レンジボール混在…古いボールのスピン異常は顧客満足度に影響。定期選別を。 

人の動き・作業(5項目) 

  1. 受付の作業時間…釣銭、会員確認、領収書発行を見直し。キャッシュレス・券売機で短縮。 
  1. 場内清掃のルート…打席→通路→トイレの順で効率良く。 
  1. シフト配置…雨天・猛暑の来客予測で柔軟に見直し。 
  1. 備品補充…ボール洗浄、ティー補充、タオル交換をついで動線に統合。 
  1. クレーム一次対応…定型文+権限範囲(返金/延長)を明記し、早期沈静化。 

価格と稼働率(4項目) 

  1. 時間帯別価格…時間帯曜日に応じて価格を変動させます。例えば、利用者が少ない早朝時間帯や、平日の前日にあたる日曜祝日の夜の価格を下げるなどして、稼働率の向上を目指します。 
  1. 回数券とサブスク…利用上限を設定し、ピーク圧迫を回避。 
  1. 体験導線—初来場者に次回来店クーポン(有効30日)を自動配布させリピーターを増やす。 
  1. Googleマップ—★4以上維持。返信テンプレ運用で効率よく返信率の向上・時間短縮。 

すぐ効く“3つの小さな投資” 

① 個別スイッチ+タイマー再設定 
不要打席を消灯し、日没時刻に合わせて自動化。夜間の電気代を削減。 

② 大型サーキュレーター/ミストの使い分け 
高温多湿時はミスト、風通しが悪い打席はサーキュレーター。 
体感温度−2〜3℃で滞在時間が伸び、客単価アップに。 

③ 回収ルートの地ならし+障害物撤去 
回収効率が上がると作業時間が短縮し、ボールロスも減少。 
1日30分短縮 ⇒ 月15時間以上の労務削減も。 

数字で見る“5%改善”のイメージ

  • 現状:月商500万円、粗利率30% → 粗利150万円。 
  • 電気代−8万円、ボールロス−2万円、オフピーク稼働+3%で売上+10万円。 
  • 合計+20万円改善 ⇒ 粗利170万円(約+13%)。 
  • まずは5%を最低目標に設定。 

現場でよくある質問(Q&A) 

  • Q1:価格を上げるのが怖い 
    A:まずは平日昼のみ+数~10数円など小刻みで。来場頻度と滞在時間が落ちないかを2週間で確認し、反応を見ながら微調整。 
  • Q2:スタッフが少なくて回らない 
    A:受付はキャッシュレスで会計時間を短縮。清掃や補充は同じ向きに進むルート化でムダな戻りをゼロに。 
  • Q3:どこから手を付ける? 
    A:「KPIの“1枚化” → チェックリスト20項目 → 小さな投資3つ」の順。 
    効果が数字で見え、スタッフも動きやすくなります。 

導入ステップ:明日からの7日間プラン

  • Day1:KPIテンプレ作成(1時間あたり売上/ロス率/電力原単位)。 
  • Day2:照明とタイマー確認。 
  • Day3:回収ルートの障害物撤去と簡易整地。 
  • Day4:受付作業の分解とキャッシュレス検討。 
  • Day5:マット・ティーの痛み箇所をリスト化。 
  • Day6:Googleマップの写真差し替え&返信テンプレ整備。 
  • Day7:価格の小改定(平日昼)をテストし、結果をKPIで確認。 

価格設計の考え方:値上げだけが答えではない

  • 「値上げ=悪」ではありません。ピークの価値は高く、オフは低い…この差を価格に反映すると不満が出にくい。 
  • 回数券は期限短め(60〜90日)で再来店を促進。 
  • サブスクは「月◯回まで」「平日昼限定」など、混雑を起こさない上限と対象時間を設定。 
  • 初来店には「次回10%OFF」よりも「平日昼に使える30%OFF」の方がピーク圧迫を避けやすい。 

まとめ

  1. 最短ルートは「ムダの見える化」:まずは電気・照明、ボールロス、人の動き、価格と稼働率の4領域を点検。設備更新より先に“運用”を整える。 
  1. KPIは週1で“1枚”管理:①1時間あたり売上(ピーク/オフ)、②ボールロス率、③電力原単位の3指標に絞り、数字→一言コメント→来週の打ち手を習慣化。 
  1. 小さな投資で効果を先取り:個別消灯とタイマー最適化、サーキュレーター/ミストの使い分け、回収ルート整備の3点で、コスト減と滞在時間増を同時に狙う。 
  1. 価格設計は“時間帯差”を反映:平日昼の微調整と回数券/サブスクの上限設定でピークの圧迫を回避。初来店には“平日昼で使える”特典を。 
  1. DXは“つなぎ方”が肝:予約→打席割当→決済→来店分析を段階導入。まずは予約と決済のオンライン化、受付QR化から始める。 
  1. 安全・近隣配慮が経営リスクを下げる:眩光・騒音・場内サイン・台風前チェックを運用に組み込み、クレームと事故の未然防止。 
  1. 7日間で着手して成果を可視化:Day1のKPI表づくりから開始し、1週間で“電気・回収・受付・価格・口コミ”の最小限セットを回す。まずは**粗利+5%**を現実的な第一目標に。