COLUMN コラム
インドアゴルフ市場2026年最新データ|施設数78%増が示す「成長」と「過当競争」の実態

[目次]
2024年12月、福岡でインドアゴルフ施設を4店舗展開していた企業が破産した。施設数は78%増。市場は伸びている。だが同時に、閉じていく店もあった。
インドアゴルフ市場の「数字」が示す現実──施設数78%増の本当の意味
全日本ゴルフ練習場連盟のデータによれば、2020年から2025年の6年間で、インドア施設数は1,022から1,817へ増加しました。増加率にして78%、795施設が新たに生まれた計算です。一方、同じ期間にアウトドア施設は2,855から2,823へと32施設減少しており、減少率は5.5%でした。市場全体の施設数は3,877から4,640へと19.7%増え、インドア比率は26.4%から39.1%へ上昇しています。数字だけ見れば、明らかに成長市場です。ただし、この成長が「誰にとっても等しくチャンス」を意味するわけではありません。施設数が増えれば、当然ながら競争も激化します。福岡の破産事例は、成長市場であっても「場所を選び間違えれば退場する」という冷徹な現実を示しています。
- インドア施設は2020年1,022→2025年1,817へ78%増加(+795施設)
- アウトドア施設は同期間に2,855→2,823へ5.5%減少(-32施設)
- インドア比率は26.4%→39.1%へ上昇し、市場構造が変化中
【データ公開】2020→2025年のインドアゴルフ施設数推移(出典:全日本ゴルフ練習場連盟)
下記は全日本ゴルフ練習場連盟が公表した施設数推移です。2020年時点でインドア施設は全体の約4分の1でしたが、2025年には4割近くまで拡大しました。この変化は、利用者の行動様式が「アウトドアからインドアへ」シフトしていることを裏付けています。天候に左右されず、都市部のアクセス至便な場所で練習できるインドアの利便性が支持された結果です。ただし、この数字は「どこでも成功する」ことを保証するものではありません。増加の内訳を見ると、東京、大阪、愛知といった大都市圏に施設が集中しており、地方でも福井(0→10)、滋賀(0→21)、広島(9→35)など、急激に参入が進んだエリアがあります。一方で、東京では2024年588から2025年529へ59施設減少しており、既に淘汰が始まっている地域も存在します。
- 2020年:インドア1,025、アウトドア2,421、合計3,446
- 2025年:インドア1,821、アウトドア2,288、合計4,109
- 東京のインドア施設は2024→2025年で59施設減少(-10%)
| 2020年 | 2021年 | 2022年 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | |
| アウトドア | 2,421 | 2,395 | 2,364 | 2,322 | 2,299 | 2,288 |
| インドア | 1,025 | 1,342 | 1,331 | 1,518 | 1,507 | 1,821 |
| 合計 | 3,446 | 3,737 | 3,695 | 3,840 | 3,806 | 4,109 |
(出典:全日本ゴルフ練習場連盟「2020年度-2025年度 全国練習場施設数調査」)
同時進行する構造変化:アウトドア施設-5.5%減が意味すること
アウトドア施設の減少は、単なる「インドアへの移行」だけでは説明できません。最大の理由は、事業継承者不在です。ゴルフ練習場の多くは、バブル期に開業した個人事業主や家族経営の施設であり、経営者の高齢化が進んでいます。後継者がいない場合、相続税の負担が重くのしかかります。特に都市部では、練習場の土地が相続税評価額で高く算定されるため、事業を継続するよりも土地を売却して商業施設やマンションに転用するほうが経済合理性に適うケースが少なくありません。つまり、アウトドア施設の減少は「市場の縮小」ではなく、「供給構造の変化」を示しています。利用者はインドアへ移行し、供給側は相続税問題と設備老朽化で退場を余儀なくされている。この構造変化を理解せずに開業判断を下すと、誤った期待を抱くことになります。
- アウトドア施設減少の最大要因は「事業継承者不在」
- 相続税負担が重く、土地売却のほうが経済合理性に適う
- 利用者はインドアへ移行、供給側は退場──構造変化が進行中
【主要4都市比較表】東京・愛知・大阪・福岡のアウトドア/インドア施設数推移(2023-2025年)
下記の表は、主要4都市におけるアウトドア・インドア施設数の推移です。東京ではインドア施設が2023年596から2025年529へ減少しており、市場飽和と淘汰の兆候が明確に現れています。一方、愛知ではインドアが2023年70から2025年74へ増加し、まだ成長余地がある様子です。大阪は2023年164から2025年178へ増加、福岡も2023年42から2025年64へ増加しています。このデータが示すのは、「成長市場」という言葉が全国一律に当てはまるわけではない、という事実です。東京では既に競争が激化し、供給過多による淘汰が始まっている。一方、地方都市ではまだ参入余地が残されている可能性がある。ただし、福岡での破産事例が示すように、「伸びているエリア」であっても、立地・コンセプト・運営体制が不十分なら退場を免れません。
全国的には成長している市場でも、地域によって状況は全く違います。以下は主要4都市の施設数推移です。
| 都道府県 | 種別 | 2023年 | 2024年 | 2025年 | 増減(24→25) |
| 東京都 | アウトドア | 142 | 138 | 139 | +1 |
| 東京都 | インドア | 596 | 588 | 529 | -59 |
| 愛知県 | アウトドア | 136 | 136 | 133 | -3 |
| 愛知県 | インドア | 70 | 66 | 74 | +8 |
| 大阪府 | アウトドア | 71 | 71 | 71 | 0 |
| 大阪府 | インドア | 164 | 164 | 178 | +14 |
| 福岡県 | アウトドア | 86 | 86 | 85 | -1 |
| 福岡県 | インドア | 42 | 40 | 64 | +24 |
(出典:全日本ゴルフ練習場連盟「2023年度-2025年度 全国練習場施設数調査」)
- 東京ではインドア施設が2023年596→2025年529へ67施設減少
- 愛知・大阪・福岡では2023→2025年でインドア施設が増加傾向
- 同じ「成長市場」でも都市ごとに競争環境は全く異なる
「成長市場=どこでも儲かる」ではない──都道府県別の競争環境格差
インドア施設が78%増えた、という数字は確かに魅力的です。しかし、その増加は全国一律ではありません。福井では2024年-2025年比較で1から10施設、滋賀では4から21施設へと急増しており、「空白地帯」だったエリアに一気に参入が進んでいます。一方、東京では588施設から529施設へ59施設減少しており、既に供給過多による淘汰が始まっています。この格差が示すのは、「成長市場だから開業すれば儲かる」という単純な図式は成立しない、ということです。開業判断には、少なくとも3つの視点が必要になります。第一に、自分が出店を検討しているエリアの施設数推移を確認すること。第二に、そのエリアのゴルフ人口(潜在顧客)と1施設あたりゴルフ人口を把握すること。第三に、競合施設のコンセプト・価格帯・稼働率を分析すること。この3つを欠いたまま「市場が伸びているから」という理由だけで開業すれば、福岡の破産事例と同じ結末が待っています。
- 福井1→10、滋賀4→21と急増した一方、東京は588→529へ減少
- 「成長市場」という言葉は全国一律には当てはまらない
- 正しい出店判断には①施設数推移②ゴルフ人口③競合分析の3視点が必要
よくある質問
-
インドアゴルフ市場は本当に成長しているのですか?
-
はい、施設数は2020年1,025から2025年1,821へ78%増加しています(出典:全日本ゴルフ練習場連盟)。ただし、東京では2024→2025年で59施設減少しており、地域によっては既に淘汰が始まっています。
-
Q: アウトドア施設が減っている理由は何ですか?
-
最大の理由は事業継承者不在と相続税負担です。都市部では土地を売却してマンション等に転用するほうが経済合理性に適うケースが多く、設備老朽化も相まって閉鎖が続いています。
-
開業判断に必要な視点は何ですか?
-
①出店エリアの施設数推移、②エリアのゴルフ人口と1施設あたりゴルフ人口、③競合施設のコンセプト・価格帯・稼働率の3つです。この3視点で分析せずに開業すると、供給過多エリアでの失敗リスクが高まります。
まとめ
インドア施設は6年で78%増えました。ただし、東京では既に淘汰が始まっており、福岡では破産事例も出ています。成長市場であることは事実ですが、「どこでも儲かる」わけではありません。開業判断には、施設数推移・ゴルフ人口・競合分析の3つの視点が必要です。感覚ではなく、データで判断してください。
ここまで記事をご覧いただいた方へ

